WFPチャリティー エッセイコンテスト2022

入賞作品発表

小学生部門賞

半分この味
神奈川県 カリタス小学校 5年
風間 史帆さん

 私には三つ上の姉がいる。姉はやさしくて、いつもおかし、ケーキなど、たくさんの「おいしい」を半分こしてくれている。そんな姉が私は大好きだ。今年の夏、姉は夏バテで元気をなくしていた。いつもの食よくがなかった。そんなとき、ふと、この前家庭科の授業で塩むすびの作り方を習ったことを思い出した。そこで、いつもの恩返しもかねて姉におにぎりをにぎることにした。あつあつたきたてのまっ白なお米を、かたすぎず、でもバラバラにならない程度ににぎる。おにぎりの中には私も姉も大好きなからし明太子を入れることにした。私は姉の元気が出るよう願いながら一生けん命にぎった。そしておむすびができた。最後にのりをまいて完成だ。仕上げにお気に入りのお皿にのせて姉の部屋にむかった。ドアを聞け、姉に話しかける。「ねぇねぇ、おむすびを作ってみたよ。」すると姉がおどろいた顔をしながらも「ありがとう」と言ってくれた。「食べてみて」と言うと、姉はごく自然におにぎりを半分に割った。すき間からふわぁと白い湯気が立ちのぼる。そして半分を私に渡した。私は一人で食べればいいのにと思いながらも「ありがとう」と素直に受けとった。私と姉が同時に口に入れる。ほのかに甘いお米にピリリと辛いからし明太子が口の中に広がった。「おいしいね」と二人でにっこり笑いあう。ふわっとおにぎりの湯気みたいに広がった思いは私と姉をつつみこんだ。姉の食よくももどってほっとした。半分こをすると、何だかうれしくてあたたかい気持ちになる。それはきっと、量は半分でも、おいしくてうれしいなという気持ちは足し算になるからなんだなぁ、とこのとき思った。なので私は一人で食べるよりも半分この方が大好きだ。だからいつも姉に分けてもらうのではなく、今度は私が分けてあげようと心に決めた。

  • 【選者のコメント】
    三國 清三さん(国連WFP協会顧問 オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ)
     半分分かち合う心。普段してもらっている事を、相手が困っているとき半分お返しするという心。思いやり相手を気づきあう心、素晴らしいと思います。何気ない日常のこういう事が大事。自然に人を想う心(ホスピタリティ)が芽生えている事が素晴らしい。お姉さんの気持ち。それはご両親の心までが自然と伝わってきます。きっと素晴らしい家族なんだなぁと想像でき、素敵だなぁ温かい気持ちになりました。ありがとうございました。
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