WFPチャリティーエッセイコンテスト2018

入賞作品発表

WFP賞(最優秀作品)

おなかすいた、なに食べよ!
東京都 東京学芸大学附属国際中等教育学校 1年
 野田 有沙(のだ ありさ)さん

 私はおなかがすいた時、今まで食べたことがあるおいしい食べ物を思い出して、「おなかすいた、何食べよ」と考えます。そこで、「おなかすいた、何食べよ」はすごく幸せな言葉だと気づきました。「何食べよ」と言えるのは、食べ物がそこにたくさんあって選べるという有り難いことです。このことに気が付いたのは、マレーシアに住んでいた時の断食を思い出したからです。マレーシアでは断食月のラマダンがあります。断食はマレー語でプアサ。そしてブカプアサとは一日のプアサの時間が明ける時のことです。そのブカプアサの時間の少し前になると、みんなはラマダンマーケットに行き、食べ物を買います。買う時、みんなおなかがすいているのであれもこれも食べたくなって、たくさんの食べ物を買います。
 断食の目的の一つは、貧しくて毎日十分な食事がとれない人たちの気持ちが分かるようになるためのものだと学びました。ですが、その人たちが毎日直面しているのは、食べられない、飲めないつらさだけでなく、それが終わらないつらさではないでしょうか。プアサではおなかがすいた時のつらさは経験できますが、毎日食べる物がなくて「何食べよ」と食べ物を選ぶことができないつらさを経験することはできません。
 そしてここでもう一つ気がついたことは、食べ物がなくて困っている人たちを助けるために、例えば日本から食べ物を送ってあげても問題の解決にはならないということです。食べる物がない原因はそれぞれの地域によって違います。本当に「飢え」の問題を解決するには、それぞれの地域の「飢え」の原因を理解してその問題を継続的に解決できる方法を考えていく必要があると思います。
 一日も早く、世界中の子供たちが「おなかすいた、何食べよ!」と言える日が来るように、私も少しでも何かができればと思います。

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  • 【選者のコメント】
    湯川 れい子さん(国連WFP協会顧問 音楽評論家・作詞家)
     「おなかすいた」は、誰もが日常的に体験する事でしょう。さぁ、「何食べよ!」と、喜びを持って考えられることの幸せを、マレーシアでの断食を通して知ったというところが、審査員としても新鮮な驚きでした。
     また、その上で「世界の飢え」を考え、それぞれの地域の「飢え」を解決して、一日も早く世界中の子供たちが、「おなかすいた。何食べよ!」と言える日が来るように…。その為に自分も努力しようと言う姿勢が素晴らしい、と感動しました。
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