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WFPエッセイコンテスト2014

13,180通のご応募ありがとうございました。
10月16日に開催しました表彰式の様子はこちらからご覧ください。
竹下景子さんによるWFP賞受賞作品の朗読映像は以下より視聴いただけます。
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WFPエッセイコンテスト2014 入賞作品発表

WFPエッセイコンテスト2014に多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
全国から13,180通の作品が寄せられ、厳正な審査の結果、入賞作品が決定しました。なお本コンテストでは、応募1作品につき給食約1日分(30円)が3社の協力企業よりそれぞれ寄付され、寄付金額は1,186,200円(1社あたり395,400円)となり、およそ39,540人の子どもたちに栄養価の高い給食を届けることができます。皆様のご支援に感謝いたします。 是非、入賞作品をご覧ください。

WFP賞(最優秀作品)

WFP賞(最優秀作品)積まれたミカン 兵庫県 野上 夏美 さん
積まれたミカン
兵庫県 野上 夏美(のがみ なつみ)さん

 「いただきまーす。」みんなで合掌すると、よしお君は誰よりも先に給食を食べ始める。
そして、誰よりも先に平らげると、「おかわり。」と叫んで残ったおかずや牛乳をもらいに行く。よしお君には好き嫌いがないから、これは毎日の光景だ。おかげで、3年2組の給食バケツはいつもカラッポだ。始めはみんな、よく食べる子、と思っていたが、あまりにもよく食べて体形もコロコロしているので、食いすけのクマ、というあだ名がついた。陰では、給食をがっつくいやしい子という悪口も囁かれるようになった。

 ある日のこと、さやかちゃんが給食を残した。「あたしね、将来モデルになりたいから、今日からダイエットするの。残ったミカン、よしお君食べたいでしょ。あげる。」そう言って、さやかちゃんはよしお君の机にミカンをぽんっと置いた。すると、さやかちゃんの隣の席のみちこちゃんも「じゃあ、あたしも。」と言ってよしお君の机にミカンを置いた。すると、2組の女子が次々とよしお君の机にミカンを置き、よしお君の机にはミカンがうずたかく積まれた。それを見ていたよしお君の顔がみるみるうちに赤くなった。「お前ら、ぼくが何で給食をいっぱい食べるかわかってるのかよ。残したら給食のおばさんが悲しい思いをするし、食べ物をたくさん食べられない人たちだっているんだ。そんな人の気持ちを考えろよ。」みんなそれを聞いてはっとした。そして、よしお君の机にミカンを置いた女子は、ごめんと言ってミカンをとりに行った。よしお君はミカンがなくなると、いつものように、「ごちそうさま。」と元気良く叫んで運動場に遊びに行った。後で知ったのだが、よしお君のお母さんは、給食のおばさんをしながら、よしお君を女手一つで育てていたとのことだった。

 今でも、残された食物を見ると思い出す、ちょっと心が痛くて、ジーンとする思い出だ。

[選者のコメント]
湯川れい子さん (国連WFP協会顧問/音楽評論家・作詞家)
今年のテーマ「いただきます」「ごちそうさま」は、日本独特の文化とも言える素晴らしい言葉です。その言葉を世界に広げようと言うご意見も沢山あって、同感しました。そんな中で、少し太目の元気な男の子が主人公の「積まれたミカン」は、まるでアニメか漫画の画面を見ているようで、審査をしながらも、思わず胸がジーンとして、涙が一粒ポロリ。内容も文章力も、文句なしのWFP賞だと思います。

部門賞

小学生部門命が命を呼んでいる 神奈川県 カリタス小学校 5年 日下部 真珠 さん
エッセイを読む
[選者のコメント]
三國清三さん (国連WFP協会顧問/オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ)
おばあちゃんが孫に伝える。孫がその事柄をまた誰かに伝える。それが連鎖して小さな輪が広がっていく。「千里の道も一歩から。」まさしくボランティアとは、この小さな輪が全世界に少しずつ広がっていく事だと思う。僕も少しずつですがボランティアを続けて20年あまりになる。僕のまわりにも、少しずつ少しずつ輪が広がっているように思える。僕も彼女のように初心を忘れず素直な心をなくさないように、これからも少しずつ少しずつボランティアを続けていこうと気づかされた。
中学生・高校生部門賞 「いただきます」のない国で 東京都 慶應義塾女子高等学校 3年 渡邉 優理 さん
エッセイを読む
[選者のコメント]
本田亮さん(国連WFP協会理事/クリエイティブディレクター・環境マンガ家)
中高生部門にはレベルの高い作品が多くどれも読んでいて楽しかった。中でも部門賞を獲った作品は全体の文章の流れが見事で、僕もまるでその食堂にいるかのような錯覚をした。日本人にとって「食」は単なる「娯楽」になっているという分析は目から鱗だった。学生時代に世界と接するということは素晴らしいことだ。こういう体験をする子どもがどんどん増えて、グローバルでやさしい視点を持つ大人がもっと増えてほしいと思った。
18歳以上部門 カンベルのいた・だきます 茨城県 藤田 邦子 さん
エッセイを読む
[選者のコメント]
御立尚資さん(国連WFP協会理事/株式会社ボストン コンサルティング グループ 日本代表)
「いのち」を食べ物として頂いて、我々は自分の「いのち」を紡いでいる。宗教観や科学観の違いはあれど、洋の東西を問わず、この事実自体は変わらない。飢餓に近い状態の人が数多く存在する地域で、日本語を教えた生徒から、再度「いのち」の連鎖とそれを含んだ「いただきます」「ごちそうさま」という言葉の意味を再確認させられたこの作品の筆者の方。その心に沁みたであろう深い思いを、読者として追体験できる、とても素敵な作品だと思います。

審査員特別賞

小学生部門
エッセイを読む
[選者のコメント]
竹下景子さん
(国連WFP協会親善大使/俳優)

おじいちゃんと孝太郎君の楽しいやり取りが目に浮かぶようです。孝太郎は大の野菜嫌い。「でもね。でもね」おじいちゃんの作ってくれる野菜は愛情いっぱいだから「おいしい。おいしい」。おじいちゃんへの感謝の気持ちとともに、手作り野菜でおいしいお料理を作ってくれる家族への感謝の思いも伝わってきます。読んでいる私まで嬉しい気持ちになりました。ありがとう、孝太郎君!
中学生・高校生部門
エッセイを読む
[選者のコメント]
辰巳琢郎さん
(国連WFP協会顧問/俳優)

子供らしい瑞々しい感性で、貴重な体験を淡々と綴った、印象的な作品でした。エッセイというものは、文章のキレや味わいはもちろん大切ですが、それ以上に、書き手の心の揺れが伝わるかどうかなのだということを、逆に教えられたような気がします。僕は、父親の方にすっかり感情移入してしまいましたが… 今の気持ちを、ずっと持ち続けてくださいね。
18歳以上部門
エッセイを読む
[選者のコメント]
柴門ふみさん
(漫画家・エッセイスト)
早く母親を亡くした自分に、友人の母たちが持たせてくれたお弁当。しかし、当時は素直に感謝できなかった。そんな青春期特有の鬱屈した想いがきちんと表現されていて、逆にその嘘の無い記述から、母を亡くした悲しみと、彼女を見守る周囲の人々の優しさが伝わってきました。ご自身の体験に基づいた、説得力と静かな感動がある作品だと思います。

佳作

小学生部門

神奈川県 カリタス小学校 6年 木原 里沙(きはら りさ)さん
神奈川県 湘南白百合学園小学校 4年 塩 千颯さん(しお ちはや)
神奈川県 川崎市立古川小学校 6年 菅森 咲耶(すがもり さや)さん
神奈川県 湘南白百合学園小学校 4年 竹中 結子(たけなか ゆうこ)さん
神奈川県 湘南白百合学園小学校 4年 渡邉 瑞紀(わたなべ みずき)さん

中学生・高校生部門

神奈川県 横浜雙葉高等学校 3年 北見 優生子(きたみ ゆきこ)さん
東京都 豊島区立千川中学校 3年 國枝 協(くにえだ きょう)さん
東京都 早稲田大学系属早稲田実業学校高等部 1年 坂本 真彩(さかもと まい)さん
愛知県 南山国際高等学校 2年 時田 碧(ときた あおい)さん
京都府 京都女子高等学校 3年 中川 あかり(なかがわ あかり)さん

18歳以上部門

静岡県 石橋 静乃(いしばし しずの)さん
埼玉県 木村 徹郎(きむら てつろう)さん
千葉県 清水 由起(しみず ゆき) さん
東京都 広川 香央梨(ひろかわ かおり)さん
新潟県 森山 勉(もりやま つとむ)さん
審査委員会による審査の様子
審査風景
審査委員長の湯川れい子さんを中心に審査
WFPエッセイコンテスト2014 について