WFPチャリティー エッセイコンテスト2017 入賞作品

審査員特別賞(中学生・高校生) ご飯に合う最高のスパイス
東京都 巣鴨中学校 2年 常松 奏音(つねまつ かなと)さん
 今年の夏休みは、いつもと違った食事をしている。それは、今まで母が短時間の仕事だったのを朝早く働きだしたからだ。
 僕が朝起きると既に両親は出勤している。冷たくなった朝ごはんが、遅くに起きてきた僕に「おそよ」と挨拶しているようだ。1人の食事も悪くない。ゆったりとした時間を好きなように使い、じっくり食べる事ができるからだ。
 お昼頃になると、近くに住んでいる祖母が僕の様子を見にきてくれる。朝ごはんが遅い僕は、あまりお腹が空いていない。だが祖母が「おばあちゃん、1人で食べるのつまらないから。」と言うので一緒に昼食をとる。学校の話や友達の話をする僕を見て、祖母は嬉しそうにしている。そんな祖母を見ると、僕もなんだか嬉しくなり、空いていないはずのお腹がお代わりを求めてくる。だから祖母と食べる昼食は、いつもお腹がいっぱいになってしまう。
 夜になると、両親が帰ってくる。母と一緒に夕飯の支度をしながら、味見と称してつまみぐいをしてみたりする。母はそんな僕の姿を見て「疲れが取れるわ。」と言う。夕飯時はテレビをつけない。それはそれぞれ1日の出来事の報告会をするからだ。僕も学校の時は嫌な事や楽しかった事を報告している。この報告会の後に楽しみがある。それは食後のデザートだ。アイスやゼリーなど甘い物を食べながら家族みんなで笑うと、なんだか元気がわいてくる。
 僕は気付いた。ごはんは人間にとって必要なものだ。だが、ただ食べてお腹いっぱいになるだけでなく、会話や笑顔というスパイスを加えると、お腹も心も満たされる幸せごはんが何よりもごちそうだということを。