WFPエッセイコンテスト2015 入賞作品

小学生部門賞 してみて分かったこの辛さ
神奈川県 カリタス小学校 6年 冨永 萌夏(とみなが もな)さん
 私は今、日の入りを待っています。これほど日の入りを待ったのは、生まれて初めてでした。私は、日の出の一時間半前から、十五時間五二分空気だけで、水一滴さえも口にしないでその日を過ごしたからです。知人が一ヶ月間断食を行う間、たった一日だけ経験させてもらったのです。夜中の二時に無理矢理朝食をとってからは、水一滴さえも飲まないで、その日を過ごしました。だんだん、昼過ぎごろから、いつもより何かするのが大変になって、頭も額の辺りが重たいような感じがして、ぼんやりしてきました。体に食べ物が入っていないという事は、思うように体も頭も働かなくなるんだと、気付きました。そして、三時すぎぐらいになると、夏なのに、体温が落ちて、寒気までしてきました。知人が話してくれました。飢えで思うように食べられない人達の身になって、理解する事もこの断食には、含まれているそうです。日の入りになって、食卓の上に水やご飯が置かれてきました。私は何度か知人の家に招かれて食事を一緒にした事がありましたが、何かが違うのです。全てがキラキラと輝いて見えるのです。料理を運んでくる伯母さんもテーブルの上に用意された夕食も暖かなオレンジ色の光を発しているようでした。私は、テーブルについた時、胸がいっぱいになったのにはびっくりしました。毎日夕食はとっているのに、全然違うのです。あたり前のように水が飲めなくて、あたり前のようにお米やおかずを口にする事ができなくて、手がふるえてしまうように感じました。それを周囲の人達に、気付かれてしまわないかと心配にもなりました。水を一口、口に含んだ時、目が大きく見開いて、重苦しい頭も軽くなりました。ゆっくり、大きく、私の中でありがとうと言葉が自然に出てきました。