WFPエッセイコンテスト2012 入賞作品

小学生部門賞 「分け合って生きること」
徳島県 徳島文理小学校 5年 近藤 千洋(こんどう ちひろ)さん
 「新せんでおいしいうちに、みんなで食べんと、もったいないけんな。」
と言って、いつもわたしのおばあちゃんは、畑でとれた野菜を食べられる分だけ残してあとは近所の人に配ります。おばあちゃんの作る野菜は農薬を使っていないので、安心して食べることができます。だけど、収かくするまでには気が遠くなりそうな作業が必要です。虫がつけば、一ぴきずつ手で殺し、夏は早朝と夕方に水やりはかかせません。やっと実った野菜を山のサルに食べられてしまうこともあります。そんな風に苦労して作った野菜を気前良くあげてしまうおばあちゃんは、心が広くて、素敵だなあと思います。
「ありがとう。おいしかった。」
と言われると、がん張って作ったかいがあったと、とてもうれしく感じるそうです。

 昨日、わたしは新聞でアフリカ大陸のサハラ砂ばくにある「サヘル地いき」の記事を読みました。干ばつが起こりやすい気候的な問題と、人間が生活のために多くの木材を切り出したことによる砂ばく化のため、千五百万人以上の人々が食料不足におちいっているのだそうです。それを解消するため、日本のNGOが現地の人達と共に植林活動をしたり、現地の子供達も毎日水くみや、アワ、ヒエなどのこく物をつくお手伝いをしているそうです。みんな、自分達が生まれた土地で生きていくために、本当に貧しい生活の中でも少ないき重な食料を分け合って、協力して生活しているということを知りました。

 今まで、わたしはおばあちゃんが大切に育てた野菜をあげてしまうのは、もったいないと思ったことがありました。十分に食べる物があるのに、なんて心が貧しかったんだろう。どんなに苦しくても心ゆたかに生きるサヘル地いきに住む人達のように、まずは、わたしも周りの人を思いやれる人になりたい。